『青空の卵』(坂木司)を読みました。

懸賞 2006年 11月 27日 懸賞

「ひきこもり探偵シリーズ」1作目ですね。
何というか、近年まれに見る衝撃作でした…。

以下ネタバレを含みますので、ご注意を。
ついでにファンの方は怒らないでね。




「ひきこもり探偵」という言葉から、
安楽椅子探偵モノを連想したのですが、
実際は、それほどでもなく。
ぶっちゃけミステリとしてはイマイチ。
トリックも大したことないし、落ちが見えちゃうし。
文章もそれほど上手いとは言えないし。

だから、おそらくは複雑な人間模様を楽しむ作品なんだと思います。
坂木と鳥井の不完全な二人が、
色々な人々と関わることによって成長していく、ということかな。
(この先、成長しているかどうかは知りませんが)

まぁ、普通の感想はそんなところなんですけどね。
この作品に関しては、ここからが問題でして。


私は一話目を読み終わった瞬間に、
悶絶しました。七転八倒でしたよ。
「何だよ、これ。おかしいだろ!」と思って。
だって、どこからどう読んでもBLなんです。
ホモくさいとか言うのとは次元が違います。
夢見がちな腐女子が書いたBLとしか思えないですよ。

この作者はプロフィールを隠していて、
性別も分からないようなのですが、間違いなく女性だね。
女性や弱者を擁護したいがために、
意味不明の論理を展開していたりするし。
だから、もしも男性がこれを書いているのだとしたら、スゴイ。
ちょっと尊敬してしまうかもしれないです(笑)。

でもこの作品のBLっぽさは、腐女子のみならず、
一般人ですら感じてしまうくらいの強烈さなので、
(レビューを読んでいると良く分かる)
単なるミステリ好きな人にはオススメできません。
うっかり手にとって、げんなりした男性諸氏も多そうです。

それじゃ、萌え萌え腐女子だったら大喜びか、
といったら、そうでもないんだな、これが。
むしろ腐女子の方が、私の求めているものはこんなんじゃない!と
投げ出してしまいそうですね。

何といっても、メインの男二人がずーっとメソメソしている話なので。
普通はね、片方がメソメソして弱くて悩み多き男性だったら、
相方は、明るく能天気でさっぱりした竹を割ったような性格だったり、
マイペースで我が道をゆく唯我独尊の俺様性格だったりして、
二人が好対照になって、お互いの欠けた部分を補い合うんですけど。

この作品の場合は、どちらもメソメソしているので、
二人で前に進もうという意欲が見られないんですよ。
卵の殻に一緒に閉じこもって、二人の世界を作って、それで満足。
この世界を壊されたくない、ずっとこのままでいたいという感じなんです。

それがまぁ男女間なら、美しい恋愛物語になるかもしれません。
もちろん男同士でも、二人が最初から恋人として書かれているのなら、
それはそれで納得できたかもしれませんが、あくまでも友情らしいので(笑)。
こんなに依存し合って、べったりくっついている友情があるか!と、
思わずツッコミたくなります。

しかも、それを狙って書いているのだとしたら、
あまりにもあざといので、
いくら私が腐女子でも、逆に拒否反応がでる所なのですが。


……ダメなんです。
私はこういう作品に弱いんです。
主人公がメソメソして、弱くて悩んで、迷って苦しんで。
そんな話が、もうどうしようもなく好きなんです。
私自身が弱いから、つい感情移入してしまうのでしょうけれど。

でもこれが自分のウィークポイントだという自覚はあります。
だって作品の良し悪しに関係なく、
主人公の性格でノックアウトされてしまうんですから。
こういうのは本来の作品の楽しみ方ではないと思いますし。

この『青空の卵』についても、頭では分かっているんです。
ミステリとしてはイマイチで、キャラ造形もパッとしないし、
文章も作者が自分に酔っている同人誌レベルだって。
これを読むくらいなら、他にもっと読むべき作品はたくさんあるよ。
と、理性はそう言っているんですけれど。

結局、続きを買ってきてしまいました……。
どうしようもないんです。
理屈じゃなくて、もっと根源的な所が求めているから。

きっと続刊を読んでも、
「うぎゃー、この二人どうにかしてくれ~」と悶絶したり、
突き付けられる彼らの弱さに、自分を重ねて悩んだりしますよ。
分かっているんだけどなー。

だからもう私に主人公がメソメソするような作品を与えないでください。
こんなのあるよ、とか教えないでください。
よろしくお願いします……(苦笑)。
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by mgear | 2006-11-27 03:12 | 小説

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