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ああ、伯爵よ、永遠なれ。

懸賞 2005年 03月 23日 懸賞

いやまだ最終回じゃありませんが。
『巌窟王』今回はもう、みっしりと詰まった30分でした。
もしかしてホントは一時間くらいあったんじゃないの?(笑)。



 フェルナンと伯爵の壮絶な戦い。やはりフランツと違って、フェルナンはかなりの良い勝負を繰り広げてくれました。
 でもあのヨロイはアルベールの家のヨロイじゃなかったのかな?形の違いとか、チェックしていないので分かりませんが、修理済みということでしょうか(苦笑)。あれ?財産没収されたんじゃ…。それとも家は無事?

 結局、アルベールと伯爵はこうやって剣を交えることはなかったのですね。それこそがアルベールらしいと言うか、その先の展開につながって行く訳ですが。


 しかし、ぐっさりと剣で貫かれても、全然死なない伯爵。ああ、もうすっかり『巌窟王』に乗っ取られてしまったのか。エデの必死の説得も通じないようです。
 そんないじらしいエデを人質に取るとは、フェルナンめ…。お前は人でなしか!

 それでももう伯爵は、エデのために復讐をあきらめたりなんてしないよな…、と思っていたら。まさか剣を落とすとは。
 びっくりしました。
 正直に言って、伯爵にとってエデがそれほど大切な存在だとは思っていなかったので(エデには悪いけど…)。

 ああ、伯爵。まだあなたは伯爵だったのですね…。


 なんて、じ~んと感動したのもつかの間。
 何で今度は逆にアルベールが人質に取られてるんだよ…。ベルッチオも辛いよな。

 どうやって伯爵が指示を出したのかは分かりませんが(以心伝心?)、剣を落としたのも、エデを助けるためだけではなく、アルベールとフェルナンの意識をそちらに向けるためだったのか、と深読みしたくなります。
 そしてここで、またびっくり。フェルナン、アルベールを選んだよ…。

 うーん、本当にフェルナンはアルベールのことを大切に思っていたんですね。その最愛の息子を、ついさっき撃ったばかりなのに(苦笑)。でも、それだけにアルベールという少年は、ずっと両親の愛に包まれて、まっすぐ育ってきたんだな、と思わせてくれます。
 それでも許さずに、アルベールを殺そうとする伯爵。

 それをかばうように飛び込んできたのは…、ええー!?バティスタン!?どうしてだ。いつの間にそんなに仲良しになったよ…。ここでもびっくりです。
 でも、これはバティスタンがアルベールをかばったというよりは、伯爵にアルベールを殺させてはいけないと思った結果なのかな。伯爵のアルベールへの想いも、ずっと二人を見てきて知っていたでしょうからね。

 普通なら、ここでかばって飛び出すのはフェルナンですよね?そんなそぶりも見せていたし。その結果、弾みでベルッチオが撃たれるか何かして、バティスタンにアルベールとエデを託す…、みたいな。そしてベルッチオは伯爵に最期まで仕える、みたいな。
 そんな展開だと思っていたのに…、ことごとく裏をかかれました。まるで予想と違っていました。ああ、びっくり。


 そんなこんなで助かったアルベールは、愛の抱擁&キス(だよね?)で、伯爵を『巌窟王』からエドモン・ダンテスに戻します。人間に戻ったら死ぬのは分かっていましたが、姿も昔と同じように戻るとは。あの髪と目は『巌窟王』が入っていたからなんですね。

 ここでようやく私は、このアニメにおけるアルベールの役割を知りました。
 つまりヒーローではなくヒロインだったのですね。だから迷惑ばかり掛けるし、足手まといだし、護られてばかりなんですね。だから最後まで武器を持たずに、愛の力だけで戦ったんですね。
 そして「美女と野獣」のように、真実の愛を捧げられた伯爵は、呪いが解けてエドモンに戻るのでした…、という感じじゃない?(笑)。
 となると、フランツは王子様ではなく、騎士の役回りだったんですね。お姫様と結婚するのはあくまでも王子様ですから(苦笑)。

 まぁ、冗談はそのくらいにして(実はかなり本気だったりしますが…爆)。

 結局伯爵と最期を共にしたのはフェルナンでしたね。これもびっくりでした。意外と私が思っていた以上に、フェルナンとエドモンは仲が良かったのか…?(苦笑)。
 だって、フェルナンは死ぬ必要はないじゃないですか。ケガはしていましたが、死ぬほどのものではなかったと思うし、メルセデスとアルベールも生きてるし(この時点でフェルナンはメルセデスが生きていたことは知らなかったかもしれませんが)。
 確かに地位も名誉も財産も失いましたけど、元々貴族じゃない所から這い上がってきたんだし、まだまだ負けないぞ、と生きることにしがみついても良かったよね。そのくらいのバイタリティはあった人だよね。

 それでも死を選んでしまったフェルナンは、エドモンの最期を見て、何か思う所があったのかもしれません。エドモンをそこまで追い込んでしまったことへの自責?…それは無いかな、今更。
 アルベールも父親の死を止めようともしなかったのは、納得できたからなんでしょうね。まさかエデや他の人に気を取られて、気付かなかったとか言うんじゃないよね?(爆)。
 でも、エドモンは一緒に逝くのがフェルナンで、どうだったかな…(苦笑)。


 ところで。

 ここまで見てきて、どうしても疑問に思えてならないことは、なぜ伯爵はあんなにも執拗にアルベールを殺そうとしていたのか、です。
 実は私は、ずっとアルベールは伯爵(というかエドモン・ダンテス)の息子なんじゃないかと思っていました。メルセデスもフェルナンとの結婚前からエドモンと付きあっていた訳だし、可能性はありますよね。それに何となくアルベールはフェルナンよりもエドモンの方に似ている気がするし。
 そして最後に、フェルナンに「アルベールは私の息子だ」と打ち明けて、フェルナンへの復讐にする、と思っていたのです。でもそうなるとアルベールを殺したら、意味がなくなります。

 それに、エドモン・ダンテスに戻ってまでも、アルベールを殺そうとしていたということから、息子説は消えたかな、とようやく思いました(苦笑)。


 でも、フェルナンを、全てを奪われた自分と同じ目に合わせるために、息子のアルベールを殺すというのなら、メルセデスだってアルベールと同じように殺さないといけなくなります。
 それが出来なかったのは、かつての恋人だったメルセデスへの想いが残っていたから?いや、自分の恋人だったからこそ、仇のフェルナンと結婚したメルセデスを恨んでも当然ですよね。むしろメルセデスを好きだったら余計に殺してしまいたくなるかも。それこそフェルナンのようにですよ。
 しかし、それと同時に伯爵は、死というのは安息であると言っていますから、復讐の相手を簡単に死なせたくない訳で。だからアルベールを生かしておくことは、憎しみが深すぎて出来ないけれど、せめて自分の手で安らかに眠らせてやろう、という思いやり(?)の結果なのでしょうか。

 でもでも、アルベールと同じ立場である筈のユージェニーには、まるで興味がない様子ですよね、伯爵は。偽カヴァルカンティを差し向けただけです。まぁ、ユージェニーは両親にあんまり愛されていなかったから復讐にもならない、と考えることもできますが。


 やはりアルベールが特別だった、と見るべきでしょう。
 エドモン・ダンテスとアルベールが似ていると言いましたが、それは顔立ちのことだけではなく、精神的なものもそうなんです。お人好しで、まっすぐで、疑いを持つこともなくて、だからこそ、だまされて、陥れられてしまった訳です。
 そしてその姿はそのまま、伯爵を信じて裏切られた(ような形になった)アルベールとも重なります。

 だから伯爵は見ていられなかったのかもしれません。かつての未熟で愚かな自分を見せつけられているようで。亡霊のように付きまとうそれを、一刻も早く消し去りたかっただけなのかもしれません。
 そうすることで、初めて自分も救われる、ということだったのかも。
 となると、伯爵がアルベールに向けていたのは、単なる自己愛だった?と見ることも出来ますね。アルベールもまた自分と近しいものを感じていたのかもしれません。

 伯爵にとってアルベールは自分自身でもあり、自分の『良心』でもあり、だからこそ『巌窟王』からエドモン・ダンテスに引き戻すのは、アルベールでなければならなかったのでしょうか。
 最期は、身も心もエドモン・ダンテスに戻った伯爵。ああ、昔の姿の方が好きだった…、と思わなくもないですが、とにかくアルベールによって、救われたのだと思いたいです。死ぬことすら許されなかった彼は、もうそれこそが一番の望みだったのでしょうから。
 アルベールの心にも、永遠に『エドモン・ダンテス』の名は刻み込まれたことでしょう…。


 …ああ、伯爵。
 伯爵とアルベールと、二人で仲良くハッピーエンドを迎えるなんてことは、在り得ないと思っていましたが、きっと伯爵は亡くなってしまうだろうと覚悟はしていましたが、やっぱり寂しいですし、すごい喪失感があります。
 アルベールにとって、伯爵の死と、フランツの死は、どちらがより重かったかなぁ、なんて考えてしまいたくなるほどに。

 それでもアルベールは、まっすぐ前向きに生きて行くんだろうと思います。
 とりあえず次回は最終回。
 終わってしまうのは寂しいし、切ないですが、じっと希望を抱いて待つことにします。
 ああ、でも…フランツの回想シーンとか出てきちゃったら、それだけで泣いちゃいそうだなぁ…(苦笑)。

by mgear | 2005-03-23 00:05 | アニメ

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