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ああ、山南さん…(号泣)。

懸賞 2004年 08月 28日 懸賞

 『新選組!』ようやく見ました。

 じっくりと腰を据えて見たかったので、ビデオに録画はしてあったのですが、落ち着いた時にゆっくり…なんて思っていたら、いつの間にか土曜日に(苦笑)。ただ単に、あの場面を見たくなかったからなのかもしれません。

 とうとうここまで来てしまったか、という感じ。幕府はもちろんのこと、新選組もまた下り坂です。池田屋が最高潮で、あとは落ちるばっかりです。一見すると、伊東甲子太郎ら一派が入ってきて人数も増え、組織的に厚みが増している時期のようですが、はっきり言ってこんな奴らを入れなきゃいけない時点でもう終わってるよ、という感じですよね(笑)。
 新選組とは同じ志を持った者達を、近藤勇への人望だけで結束を固めている組織なのに、どう見ても近藤を尊敬しているとは思えない、それどころか馬鹿にしているんじゃないの?と思える伊東甲子太郎を隊に入れることは果たして必要だったのか。これが山南さんを追いつめたという気がしなくもないです。

 それでも、いよいよこの時が来てしまったか、という回なので、感慨もひとしおですね。新選組という組織のターニングポイントとして、「芹沢鴨」「池田屋」と並んで重要なものが、この「山南切腹」だと思うのですが、それだけに私自身も思い入れがあるといいますか、安易に片付けて欲しくない問題でもありました。

 で、この『新選組!』はどうだったかと言えば、「何も文句はない」これに尽きるでしょう。よくぞここまで描き切ってくれました。いえむしろ描きすぎ?そこまで懇切丁寧に説明しなくても…、と思うくらいに語り尽くしてくれたと思います。




 以下ネタバレ含みます。というか、ドラマを見た直後に書いたので、感情的になりすぎたか、という気が…。最初に謝っておきます。すみません。

 誰もが山南さんを死なせたくないと思っていた、そして誰もが死なせないでくれ、と土方に訴えますが、土方にしてみれば、どうして俺に言うんだ、といったところでしょうね。
 逃げたら切腹だと分かっていた筈なのに、そしてそれはたとえ誰であろうと変えることは出来ないと土方が判断することも、きっと山南さんは分かっていたはずなのに、ですよ。それでも逃げたんだから、言ってみれば自業自得であり、文句を言うなら本人に言え、と思うのではないでしょうか。

 それじゃそもそも逃げざるを得ない所まで追いつめたのは誰なんだ、という話にもなってきますし、それが土方だと言ってしまえば簡単ですけれど、逆じゃないかとも思うんです。
 見捨てられたのが土方なんですよ。置いていかれたんですよ。誰が逃げ出しても、決して逃げることの出来ない土方に対してね。ああ、だからもしもこれが山南さんの復讐なのだとしたら、土方にこれ以上の打撃を与えるものはなかったでしょうね。正面切って斬りかかられるよりも堪えたかもしれない。…いえ、そんなことは決してなかったと思いますけれど。
 
 表立って裏切ることも出来ないけれど、自分の主義主張を曲げてまで、新選組の中に溶け込むことも出来ない、だから逃げるしかなかったのかもしれません。
 ただ本当に逃げようと思うなら、もっと頭の良い見つからない方法がいくらでもあった筈ですから(ドラマの描き方はあまりにも牧歌的すぎましたが)、小細工をしなかったのは、つまりは死ぬためだったのかな、という気もします。いえ正確には殺してもらうため…、ですね。

 そう考えると、意外と山南さんはずるい人だったのか?と思わなくもないです。自分では解決出来ない問題だから私は逃げます。後はあなたたちでどうにかして下さいね、という感じに全てを投げ出しちゃったようにも思えるではないですか。うん、やっぱりね、逃げるのはずるいですよ。その中で必死に戦っている人達の前でね。
 だから私は、山南さんにも戦って欲しかったんです。つらいのはあなただけじゃないんです。苦しいのも、逃げ出したいのもあなただけじゃないんです。責めるべきは、それでも逃げることしか出来なかった山南さんの「弱さ」なのでしょう。 

 だからと言って、それを簡単に、強くなれ、とか、負けるな、とかいうことは出来ませんし。そう出来たら苦労はないんですから。
 どこまでも強くあろうとする土方と、それに負けて弱さを露呈してしまった山南さんと。やはり対象的ですね。
 それだけに本当は、土方は死んでも強くなきゃいけない、とも思うんです。山南さんを犠牲にしたのだから、その屍を乗り越えていかなきゃいけないんだから。

 ドラマでは最後に土方も泣かせてしまいますけれど、それはそれですごく良い場面でしたし、鬼が人に戻る重要な場面でもありますけれど、私としては泣いている近藤を「泣いている場合じゃない」と張り飛ばすくらいの「鬼」であっても良かったかな、なんて思います。
 それにしても、今回の山南さんは美しかったですね。後光すら見えるような気がしました。桜が散っていく時の美しさとでもいいましょうか。鬼と桜というのも、それはそれで美しい取り合わせだと思いませんか。

 最後に、ここまで読んで下さったなら察していると思われますが、私は新選組で土方が一番好きです。でもその次には山南さんが好きなんですよ。

by mgear | 2004-08-28 22:53 | テレビ

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