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和田慎二さんのこと。

懸賞 2011年 07月 17日 懸賞

ちょっと気持ちが落ち着いてきたので、
和田慎二さんのことを書こうと思います。

長くなったので、↓にて。




注)
私は漫画家さんを『先生』付けで呼ぶのが好きではないので、
文中では全て『さん』付けで統一しております。
これはどんな大御所さんでも新人さんに対しても同じことです。
敬意を払った上での『さん』だと思ってもらえるとありがたいです。


私が和田慎二さんを初めて知ったのは中学生の時。
おそらく『超少女明日香』だと思います。
その頃から、普通の女の子が好むような恋愛ものや
可愛らしいマンガには興味が無く、
ストーリー的にもファンタジーやSFやミステリなどが好きでした。
(だから同時期に、山田ミネコさんや中山星香さんとも出会っています)

『超少女明日香』はそんな私には衝撃的でした。
チンチクリンで地味なお手伝いさんの明日香が、
美しくも強い超能力少女に変身して戦う、というもの。
ストーリー的には勧善懲悪ではあるのですが、
彼女自身の目的はあくまでも『復讐』なのです。

戦うヒロインであっても決して正義の味方ではない。
明日香は単に、物言わぬ『自然』の代弁者というだけ。
自然災害が起こっても、それが善や悪ではないように、
明日香の使う力も、そういった枠組みに囚われないのでしょう。

ヒロインにどこか陰がある、ただキレイなだけじゃない、
というのは、和田作品に共通していることであり、
それが魅力でもあると思うのです。


それから、他の作品を集めるようになりました。
『ピグマリオ』『スケバン刑事』などの長編はもちろん、
『銀色の髪の亜里沙』や『左の眼の悪霊』などの短編も。
どの作品も印象に残っていますが、
やっぱり代表的なのは『スケバン刑事』でしょうね。

ヒロインの麻宮サキもダークな部分が多い女性です。
そもそもスケバンの彼女が刑事になる経緯がすごい。
父を殺して死刑判決を受けている母の死刑執行を止めるため、
なんですよ。凄惨すぎる。少女マンガのヒロインの属性じゃない……。

サキはいわゆる悪(ワル)なので、警察は敵なのですが、
刑事として事件を解決すると、お母さんが生き延びられる、という訳です。
彼女が象徴的に取り出す『桜の代紋』ですら、彼女を縛り付ける鎖であり、
自慢したり誇ったり、偉そうに振りかざすようなものではないのですね。

そういう意味では『自然のため』という大義名分のある明日香の方が、
自分の力を行使することに、ためらいは感じなかったかもしれません。


でも面白いことに、少年が主人公の『ピグマリオ』だと、
そういったダークさはあまり見られないんですよね。
ヒロイックファンタジーを意識したせいなのかな。

少女マンガではファンタジーを題材にしたものって、
そんなに多くはないのですが、
主人公は金髪の少年で名前はクルトだし、
日本的な要素が全くといって良いほど入っていないので、
少年マンガとしては無理だったろうなぁ。

とはいえ、少女小説にはファンタジーが氾濫しているから、
女の子が好まないというよりは、
そういう世界観を絵で描くのは大変ってことなのかも。


それから、中学生時代に新選組にハマったのは、
『あさぎ色の伝説』の影響が大きいです。
というよりも新選組を知ったのがこの作品だったり。
その当時は土方歳三もマイナーでした(苦笑)。

新選組がらみの小説はかなりたくさん読みましたが、
それでも『燃えよ剣』以上に楽しめるものはなかったなぁ。
そもそも『あさぎ色の伝説』が
『燃えよ剣』の影響を受けているっぽいんですよね。
キャラ造形とかストーリー展開とか。
あとがきなどでそんなコメントがあったかなぁ、忘れましたが。
刷り込みってことでしょうか。

そのせいか、原田左之助がデブの三枚目というイメージが、
つい最近までずっと払拭出来ませんでした。
本当は美男子だっという話なのに。すまん。
井上源三郎もジイさんっぽいイメージだけど享年40歳なんだよね……。
視覚のインパクトって強いんだな、と改めて感じます。


他にも書きたいことはいっぱいあります。
怪盗だったりアイドルだったりと迷走した感じの
『怪盗アマリリス』は、だからこそ能天気に楽しめる作品でした。

結局二人が結ばれることなく終わってしまった
『忍者飛翔』は続きを描く予定もあったのでしょうか……。
真琴がね太郎の正体を知る場面が見たかったです。
考えてみれば、『超少女明日香』の男女逆転版なんですね。
明日香の正体がずっとぼっちゃまにバレなかったら……、
という話だったのかな、と思ったり。
それはそれで見てみたかった気もします。

それから、未完になってしまった『傀儡師リン』は、
9/16に最終巻が出るようですが、ストーリーもクライマックスで、
もうちょっとで終わりそうだったのに、残念です。
きっとラストまでストーリーは決まっていたでしょうしね。
本当に、本当に残念です……。



私は小学生くらいから、ずっとマンガを好きで読んでいますが、
子供の頃に好きだったマンガや漫画家さんも、
自分が歳をとるにつれて、合わなくなったり、
あんまり面白く感じられなくなったりして、
『卒業』してしまった方も多いです。

それでも、和田慎二さんは変わらずにずっと好きで、
いつでも楽しませてもらってきました。
好きな漫画家さんを挙げろと言われたら、
最初に出てくるのではないかと思います。
子供の頃から、それはずっと変わっていません。

私が和田慎二さんを『卒業』することは永遠にないでしょう。
新作を読むことはもう出来ませんが、
旧作も奥にしまい込んでしまって、容易に取り出せないのが現状。
いっそのこと文庫版とか新装版を買い直そうかな。
そんな気もしている今日この頃なのでした。

by mgear | 2011-07-17 03:28 | マンガ

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